
キク類で発生する「キク白さび病」は、一度発症すると抑えることが難しい厄介な病害のひとつです。キク栽培を行う生産者からは「農薬を散布しても効果が見られない」など、防除に苦戦する声も多く聞かれています。そこで今回は、キク白さび病の特徴をはじめ、効果的な防除方法とおすすめの薬剤を紹介します。
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キク白さび病とは

菌について
キク白さび病は、キク類のみに感染する「キク白さび病菌」という病原菌によって起こる病害です。
症状
- 初期症状
葉の表に乳白色の1~2mm程度の斑点のようなものができます。
- 進行すると
徐々に黄色味を増しながら2~3mm程度に拡大していきます。
また、葉の裏には白く盛り上がったいぼのような斑点ができます。
いぼの正体は??
いぼのような斑点は冬胞子(ふゆほうし)という胞子が集合したものです。これが濡れることで小生子(しょうせいし)という胞子を形成して雨や風によって飛散、拡大していきます。また、葉の表面が濡れていると胞子が増殖するという特徴があります。
・梅雨時期などの雨が多い時期 : 感染リスク大!
・高温条件下 : 感染リスクが低下!真夏などは発生しにくい病害です。
発生しやすいタイミング

①育苗期間
挿し芽後の管理では被覆資材を利用して保温します。キクの成長に適度な温度や湿度は、キク白さび病の病原菌も繁殖しやすい環境のため、注意が必要です。

②栽培期間
栽培期間は梅雨時期のため長雨が続くことが多く、感染リスクが高まります。

③収穫後
収穫後の親株は、栽培期間と比べて防除作業の回数が減りやすく感染するリスクが高まります。
育苗時期から収穫後まで常に感染リスクがあり、注意が必要です。
コマツナの白さび病とは違う?
コマツナや大根などアブラナ科の野菜でも白さび病は発生しますが、キクで発生する白さび病とは違う分類の病原菌によるものです。そのため、キク白さび病の病原菌がアブラナ科の野菜に付着しても発症することはありません。
育苗段階の防除には『温湯浸漬処理』!

「温湯浸漬処理(おんとうしんせきしょり)」とは?
「温湯浸漬処理」: お湯に浸すこと。厳密な温度管理を行うため専用の機械が必要です。
キク白さび病は高温に弱いため、苗をお湯に浸すことで植物に付着した病原菌の密度を低下させることができます。病原菌を育苗段階で退治するので、圃場での病害発生を抑えることができるおすすめの防除方法です。
温湯浸漬処理の方法と手順
STEP1:挿し穂の調整
STEP2:温湯浸漬処理機の水温を45℃に
STEP3:挿し穂を容器に詰める
STEP4:挿し穂の予備加温
STEP5:温湯浸漬処理
STEP6:冷水で冷ます
STEP7:挿し芽を行う
STEP8:暗黒処理
STEP9:育苗
定植したら定期的な『薬剤散布』!

温湯浸漬処理を行っても、安心はできません。風で飛ばされた胞子が付着し、気づかないうちに感染している可能性があります。定植後は定期的な散布で防除しましょう。おすすめのアイテムや薬剤をご紹介します。
梅雨時期など、感染リスクが高まる防除適期に合わせて薬剤散布を行うとさらに効果的です。
発病予防・サプロール乳剤
★ポイント!
〇ウイルス性の病害を予防します。
〇作物の中に侵入した病原菌も退治します。
〇うどんこ病や黒星病にも優れた効果を発揮します。
〇計量も簡単で散布後の汚れも少ないです。
【キク白さび病での使用方法】
希釈倍数:1000~1500倍
散布液量:100~300L/10a
使用方法:散布
使用回数:5回以内
発病予防・ジマンダイセンフロアブル
★ポイント!
〇胞子発芽を抑制し、病原菌の侵入を防ぎます。
〇べと病などにも優れた効果を発揮!
〇展着剤との併用でさらに作物の汚れを防ぐことができます。
〇花粉交配に用いるミツバチやマルハナバチなどの有用昆虫に対する影響が少ない薬剤です。
【キク白さび病での使用方法】
希釈倍数:500~800倍
散布液量:150~300L/10a
使用方法:散布
使用回数:8回以内
発病予防・ストロビーフロアブル
★ポイント!
〇予防効果のある殺菌剤です。
〇胞子形成を阻害して二次感染を防ぐ効果も!
〇新規有効成分「クレソキシムメチル」によって、各種薬剤耐性菌に対しても効果を発揮します。
〇有効成分が広がり、作物の葉表面に均一に吸着してくれます。
【キク白さび病での使用方法】
希釈倍数:3000倍
散布液量:150~300L/10a
使用方法:散布
使用回数:2回以内
発生初期の殺菌・カリグリーン
★ポイント!
〇即効性があり、発病初期に散布することで高い効果があります。
〇花粉交配に用いるミツバチやマルハナバチなどに対する影響が少ない薬剤です。
(主成分は食品や医薬品に使用されている炭酸水素カリウムです。)
〇肥料効果も発揮します。
【キク白さび病での使用方法】
希釈倍数:800倍
散布液量:150~500L/10a
使用方法:散布
薬剤耐性に注意!

同じ系統の薬剤を使用し続けると耐性がついて、同じ系統の薬剤が効かなくなることがあります。薬剤散布を行う際は異なる系統の薬剤を複数用意してローテーション散布を行うようにしましょう。
キク白さび病ではオキシカルボキシンという薬剤で耐性菌の発生が報告されています。
まとめ
キク白さび病は、育苗段階の防除と薬剤散布を適切に行うことで高い防除効果が得られるということが理解していただけたかと思います。病気の発見が遅れてしまうと薬剤の効果が弱まってしまうこともあるので作物をよく観察して早期発見を心がけるようにしてください。
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