うどんこ病の効果的な予防・対策方法とは?おすすめの薬剤もご紹介

野菜や果樹など、育てている作物に小麦粉のような物が付着していたらそれは「うどんこ病」かもしれません。放置してしまうと広範囲に広がってしまうことでも知られるうどんこ病は、見つけ次第早めに対処するのがおすすめです。そこで今回は、うどんこ病の症状や生態をはじめ、うどんこ病が発生した時に被害を最小限に抑えるための対策方法を紹介します。

目次

うどんこ病とは?

菌について

うどんこ病はカビの仲間です。発症初期には葉で小さな白い斑点ができて次第に葉の全面に小麦粉を振りかけたかのような状態になるのが特徴です。病状が進むと茎などにも影響が出始めてやがて枯れてしまいます。

特徴

  • 病原菌 : ウドンコカビ目ウドンコカビ科
  • 伝染方法 : 風によって胞子が運ばれることにより伝染(風媒伝染菌)
  • 好む環境 : 高温で乾燥した環境や葉が過剰に生い茂った場所

うどんこ病の種類

表皮寄生菌

植物の表面でしか繁殖することができず菌糸や胞子が見えるため、発病初期の状態で防除が可能となります。 例)きゅうり

内部寄生菌

菌糸が植物の細胞内に広がっていくため、気づいた時には病状が深刻化していることもあり注意が必要です。 例)ピーマン

発生する植物

うどんこ病は、野菜や果樹などさまざまな作物で発生します。

  • 感染する作物の種類は9,838種
  • 生きている植物に寄生
  • 基本的には同じ類の野菜に寄生  

例)ウリ類で発生するうどんこ病であればウリ類のみに、バラで発生するうどんこ病であればバラのみに寄生。

発生しやすい作物:ウリ類、ナスやピーマン、イチゴ、バラなど

予防するには?

うどんこ病を未然に防ぐには、菌が好む環境を作らないことが重要です。管理の際、次のポイントを気を付けしましょう。

肥料過多を防ぐ

多肥になることでうどんこ病の発生が助長されてしまいます。特に窒素成分が多くなると葉が生い茂ってしまい菌が好む環境になるので注意しましょう。

風通しをよくする

通気性が悪いとうどんこ病の菌にとって好ましい環境となります。生育に合わせて枝や葉を剪定して風通しを良くしてください。

乾燥状態にならないようにする

うどんこ病の菌は乾燥状態を好むのでかん水などをしっかりと行いましょう。通路などにもかん水することで適度に湿度が保たれてさらに効果的です。

予防効果のある薬剤を散布する

予防効果のある薬剤を散布するのが最も効果的な方法です。その際は、葉の表面だけでなく葉裏にもしっかりと散布するようにしてください。

発生してしまった

うどんこ病発生時の対処には、次の2つの方法が考えられます。被害が拡大しないように、早めに対処しましょう。

発症した葉を取り除く
他の株に広がるのを防ぐために取り除いた葉は、離れた場所に処理しましょう。

治療効果のある薬剤散布をする
発症したのが1株であっても既に他の株にうどんこ病の菌が寄生していることが考えられるので、症状を発見したら全体に薬剤を散布するようにしましょう。

薬剤について

ローテーション防除で抵抗性を回避

うどんこ病は、病害の中でも特に薬剤耐性が発生しやすいと考えられています。薬剤散布をする際は同一系統の薬剤を使用し続けるのではなく、「RACコード」の異なる薬剤を使用したローテーション防除を行うようにしましょう。

 

おすすめの薬剤5選

うどんこ病に効果のある薬剤は、予防効果のあるもの、治療効果のあるもの、予防・治療兼用の3種類に分けることができます。

ダコニール1000【予防】

「ダコニール1000」は、野菜・果樹・草花などさまざまな植物の総合殺菌剤です。うどんこ病をはじめ、糸状菌によって起こる炭そ病や斑点病など広範囲の病害に優れた効果を発揮します。水中分散性と懸濁性に優れているので、水と混ぜて攪拌すると簡単に安定した散布液を作ることが可能です。有効成分が微粒子のため、植物に均一に付着してくれます。また、薬剤による汚れが少ないという特徴もあります。

【きゅうりのうどんこ病で使用する場合】
希釈倍数:1000倍
使用方法:散布
使用時期:収穫前日まで
使用回数:8回以内
散布量:100~300L/10a
農薬の総使用回数:10回以内

 

トップジンM水和剤【予防】

「トップジンM水和剤」は、即効性と残効性に優れ広範囲の病害に効果のある殺菌剤です。浸透力が強いので植物に侵入した病原菌を死滅させることができます。定期的な予防散布はもちろんのこと、激発時のまん延防止にも効果を発揮してくれます。ほとんどの殺虫剤などとの混用が可能なので、使い勝手がいいのも特徴のひとつです。

【きゅうりのうどんこ病で使用する場合】
希釈倍数:1500~2000
使用方法:散布
使用時期:収穫前日まで
使用回数:5回以内
散布量:100~300L/10a
農薬の総使用回数:6回以内

 

トリフミン水和剤【予防・治療】

「トリフミン水和剤」は、病斑の拡大阻止力や胞子形成阻止力を持ち、低濃度でも予防と治療の両方で優れた効果を発揮します。浸透性にも優れているので、万が一散布後に雨が降ってもほとんど影響がありません。人畜・水産動植物・ミツバチなどへの毒性が低いので薬害の心配が少ないという特徴もあります。

【きゅうりのうどんこ病で使用する場合】
希釈倍数:3000~5000
使用方法:散布
使用時期:収穫前日まで
使用回数:5回以内
使用液量:100~300L/10a
農薬の総使用回数:5回以内

 

サプロール乳剤【予防・治療】

「サプロール乳剤 」は、病気の予防効果だけでなく葉の中に侵入した病原菌を退治するといった治療効果も兼ね備えている殺菌剤です。うどんこ病やさび病をはじめ、バラで起こる黒星病にも優れた効果を発揮します。乳剤のため計量がしやすく、散布後の葉の汚れも少ないのが特徴です。

【きゅうりのうどんこ病で使用する場合】
希釈倍数:1000~2000
使用方法:散布
使用時期:収穫前日まで
使用液量:100~300L/10a
農薬の総使用回数:5回以内

 

カリグリーン【治療】

「カリグリーン 」は、最新のマイクロカプセル技術を駆使した水溶性防除剤です。うどんこ病をはじめ、さび病や灰色カビ病などに高い治療効果を発揮します。食品や医療品にも使用されている炭酸水素カリウムが主成分の安全性の高い薬剤となっていて、ミツバチやマルハナミツバチなどに対しても影響が少ないので天敵を利用した防除体系が可能です。

【野菜類のうどんこ病で使用する場合】
希釈倍数:800~1000倍
使用方法:散布
使用時期:収穫前日まで
使用液量:100~300L/10a

まとめ

薬剤 特長 使用方法

うどんこ病
対応植物例

ダコニール1000 

野菜・果樹・草花などさまざまな植物の
総合殺菌剤

希釈倍数:
1000倍

散布量:
100~300L/10a

キュウリ・メロン
カボチャ・トマト・ナス

トップジンM水和剤 

即効性と残効性に優れ、
広範囲の病害に
効果のある殺菌剤

希釈倍数:
1500~2000倍

散布量:
100~300L/10a

ウリ類・ズッキーニ
イチゴ・あけび・なし

トリフミン水和剤

人畜・水産動植物・
ミツバチなどへの
毒性が低い

希釈倍数:
3000~5000

散布量:
100~300L/10a

リンゴ・なし・柿
ブドウ・もも・イチゴ
スイカ・メロン
きゅうり・ピーマン
カボチャ・ウリ・ナス麦・オクラ

サプロール乳剤  

葉の中に侵入した
病原菌を退治する

希釈倍数:
1000~2000倍

散布量:
100~300L/10a

ばら・メロン
キュウリ・ナス
さやえんどう・イチゴ
ピーマン・かき

カリグリーン 

最新のマイクロカプセル技術を駆使

希釈倍数:
800~1000倍

散布量:
100~300L/10a

麦・野菜・トマト
ホップ・リンゴ・花卉

この記事ではうどんこ病の生態や予防のための対策、効果のある薬剤を紹介しました。うどんこ病は、発生しないように気を付けていてもいつのまにか症状が出ていることがあるので、見つけ次第すぐに対策を取ることをおすすめします。

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